【講演会】「親の困り感・子どもの困り感」 ~こだわりや行動障害の原因を探りましょう~

2月9日金曜日、全日警ホール 二階 第三会議室にて、学齢委員会主催 「親の困り感・子どもの困り感」 ~こだわりや行動障害の原因を探りましょう~」を開催いたしました。参加者56名でした。
昨年度学齢委員会では、思春期の体の変化について勉強会を行いました。その時のアンケートで多く出された意見は「思春期の心の変化についても知りたい」というものでした。
そこで、今年度は思春期以降に起こり得る問題行動に対して小学校低学年のうちから知っておくべきことを勉強したいと企画いたしました。

講師は千葉県発達障害者支援センターCAS 副センター長 田熊立先生です。「思春期ごろからのこだわりや行動障害の原因を探る」と題してご講演いただきました。

初めに、思春期に生じる「変化」についてお話を頂きました。
「変化」は急に起こるのではなくそれまでにどのような経験を重ねているかが大きく影響しているそうです。こだわりが強くなったり、行動障害が出てきた時に周りの人はどうしても『どうするか?』にばかり目が行き過ぎて『なぜ?』に目がいかない場合が多いことが問題であるとのことでした。むやみやたらにこだわりを止めようとすれば、結果的に強まることが多く、強まってからの対策を立てないままやたらに止めようとするのは間違いだそうです。こだわりとなるものの物理的排除は可能だとしても次の手を考えておく必要性はあるそうです。
また、自閉症の子は、マイルールにこだわるために、集団の(社会的な)ルールとの折り合いをつけることがとても重要になってきます。なぜなら、思春期は周囲の見方が子どもから大人へと変化するので今まで許されていたことが許されなくなるからです。そこで、自立と地域生活をより意識した支援が必要になってきます。
基本的な準備としては
①自立スキル
②お手伝いを通して集団の中で役割を持つ
③余暇・趣味や家庭以外の参加可能な場を持つ
④最低限のコミュニケーション(要求や拒否、自分から伝えようとする気持ちや援助を求める力)
以上の4つが必要になってきます。

思春期になると、それまではグレーと言われていた子どもが強く発達障害の特性を示すこともあります。こだわりや過敏性が顕著になることもあり、原因として要求水準が高まったことによる不安が背景にあることも多いので、わかりやすい指示と結果を示すことが重要です。
また、過敏性には波があるので、ひどくなった時には絶対に無理をさせてはいけないそうです。思春期で強まったものは、25歳を過ぎてから、落ち着いてくることも多いので、やたらに強めないことが重要です。
情緒の変化としてはイライラすることが多くなったり、突然怒りだすこともあります。
どんな場面(きっかけ)でどんな行動が起きて、どんな対応をしているかを見直すことが重要になってきます。

思春期と言っても、いままでと基本は変わらず
・出来ない事よりも出来ることを少しずつ積み上げていく。
・成功体験を多くする、ひとりでできたという経験を大切にする。
・人にほめられる、認められる経験を多く、
・好きなことや集中できることを大切にする。
・家庭が精神的な基盤になることは変わらない。
とのことでした。
また、彼らにとっての究極の社会的スキルは「相談する力」ということでした。

最後に事前に出た質問に対しても丁寧にお答えいただきました。

いつもながら、田熊先生のトークにぐいぐいと引き込まれ、あっと言う間に2時間が過ぎてしまいました。私たち保護者にとって大変有意義であったことはもちろんですが、次回はぜひ先生方や支援者の方にも聞いて頂き、連携できれば子どもたちの更なる成長につながると確信しています。

【アンケートから】
・すごくためになり、子供に対する気持ちが変わりました。ぜひ、我が子の支援学級に来てほしいです。先生にも聞いてほしい!

・テーマがどれも我が家の困り感にあっていて、目からウロコの内容でした。つい「ダメ!」と止めに入ることはいけないと分かっているのですが、ここで家族にもクールダウンして、できることを探し、本人をよく見るに立ち戻るきっかけになりました。成長とともに生活がマンネリ化していたので初心にかえって色々考えたり試みたりしようと感じました。先生のお話、テンポよくユーモアがあり困っているんだけどちょっと笑ってしまったりする自閉ちゃんの特性や周りの対応にうなづきながらも新たな情報を得られて実りある勉強会でした。先生、スタッフの皆様ありがとうございました。

・参加させていただき本当に良かったと思いました。お話もとても分かりやすく、聞きやすく楽しかったです。

・支援の手立ての真骨頂を見た気がします。それくらい素晴らしい講演でした。学校の先生や事業所の方にもぜひ聞いていただければ市川市にとっても有意義かなと考えさせられました。タイプの違う我が子ではありますが、とても参考になりました。

・本当に本当に今日は来て良かったです!学校の先生にもぜひ聞いてもらいたい内容でした。なるほどなるほどと思いながら聞いていました。

・とても難しい問題のお話だったので、先生のお話を聞き終わった時にはスカッとすがすがしい気持ちになりました。今日は本当にお話を聞きに来てよかったです。子供の行動について、なぜその行動になるのか客観的に分析する事で見えてくることがあるという事がわかりました。

・本当にすっきりします。今までどんな先生に聞いてもうやむやにされていた事がどうしたらいいかズバッと言って下さってとても助かります。少しづつ成長していってこちらの想定を超えてきたり、試されたり我が子とはこれからも戦いですが、負けずにめげずに頑張ります。田熊先生大好きです。またお話を聞かせてください。ありがとうございました!

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