第3回 全国手をつなぐ育成会連合会 全国大会 (神奈川大会) ※関東甲信越大会併催
平成28年度のテーマは「誕生した大切な命だから 一人ひとり充実した人生を!」市川から7名参加しました。
第一分科会:「大切な命を授かって生まれる~家族支援と本人支援のバランスを考える~」
基調講演は市川でも、家族支援でおなじみの吉川かおり氏の「親の幸せ 子どもの幸せ」でした。 まず、①「生きにくい」のは障害のある人と家族だけ?」②家族の責任はどこまで?③「幸せ」の実感はどうやったら掴めるのか?という3つの問題提起に沿ってお話がありました。シンポジウムのコーディネーターは吉川氏 シンポジストは親、支援者、行政で、それぞれの立場からのお話がありました。親はどうしても「子どもの為に!」と自分を犠牲にして頑張りがちですが、子供しか見てこないでいると子離れやその後の時期にしわ寄せが来てしまうこと。障害は自己責任ではないので、本人も家族も「自分は自分であっていい、自分には価値がある」と思えるようになってほしい…との吉川氏の言葉に、題目にもある「大切な命」を支え、支えられながら、できることを生かしていきたいと思いました。この話を、小さいお子さんがいる若いお母さん達に聞いてほしいと思いましたので、帰りに吉川さんに「ぜひまた市川でも」とお願いしてきました。
第二分科会:「インクルーシブな社会で育つ~権利条約から読みとく教育・社会参加~」
まず、コーディネーターの又村あおい氏より権利条約と障害者基本法に記されている『教育』についての説明がありました。続いて教育・就労現場で活躍されている四氏から発言がありました。「教育とは授業内容が分かり、実感でき、達成感があり、生きる力を身に付け、充実した時間を過ごさせること」「就労前に関わっていた支援者又は支援機関の職員は支援することで給料を得ている。が、企業の人は障害者の支援で給料を貰っているわけではなく、支援者ではないことをまず認識すべき」の言葉が印象に残りました。また神奈川県が取り組んでいるインクルーシブ教育推進についての説明がありました。
第三分科会:「自分らしさを発揮して生きる ~可能性を引き出す支援の実践~」
studioCOOCA(スタジオクーカ)施設長の関根幹司氏は20年前、作業所の作業に打ち込めない人と一緒に絵を描いた。別の人は新聞紙を切り、それを貼った。面白いと思ったが周りからは理解されない、でも、施設の役割を明確に答える人がいなかったので、何をしてもいいのではないかと本人が好きなことをする施設にしたそうです。NPO法人UCHIの牧野賢一氏は障害の重い人たちと長くかかわってきたが、現在は判定がB-2の軽度の人たちのグループホームを運営、支援している。彼らは親からの虐待や学校でのいじめ、職場での差別などで否定されることが多く、厳しい現実の中でもう一歩が踏み出せず、簡単に逃げてしまう。暮らしの中で「安心・安定」「表現」「自己実現」という視点から“かかわる”支援をしていくと話していました。NPO法人ハイテンション代表のかしわ哲氏はサルサガムテープとして障害のある人たちとバンド活動をしています。歌のお兄さんとして障害児者の前で歌ったことが現在のバンド活動に繋がったと話され、演奏中は自由に動いて構わないのにぴょんぴょん飛んでいる人を止める親や支援者を見ると、それが障害だ!という言葉がありました。
第四分科会:「成人後の人生を自立的に暮らす ~制度を利用する際の意思決定支援のあり方~」
大塚晃氏の講演では、ご自身の息子さんのGH暮らしの体験から、如何に「本人の意思決定」を支援することが難しいかを話されました。「意思決定支援」の考え方の浸透とその実践を積み重ねるには、法律「意思決定支援法」を作りましょう!と締められました。琉球大学准教授の鈴木良氏からは、カナダの脱施設を例に、個人個々を大切にし、コミュニティ関係が大事、その仕組み作り話が印象に残りました。大分育成会の村上氏は、必要なサービスは自ら作っている話と、まちで働く・まちで暮らすを実現するには、多くの体験が必要で、それが意思決定支援につながること、そしてそのためにも地域の障害理解を深めている話が、力強く感じました。
全体:記念講演「よろこびを力に…」講師は元マラソン選手・スペシャルオリンピックス理事長の有森裕子氏でした。
先天性股関節脱臼のためスポーツや走ることが苦手だったのですが、「無理にやらなくても良いから」という先生に出会えて、何かをやってみようとマラソンを始め、結果オリンピックまで出場できたということでした。障害のある人達は「運動ができない」のではなく運動する機会が少ないのであって、決して運動が苦手という人ばかりではないということだそうです。スペシャルオリンピックスは参加することに意義があります。積極的に運動をさせてあげてくださいというお話でした。